日本で最初に印刷されたシールは封緘シールだそうです。
皆さんご存知ですか?日本で最初にシール印刷が行われたのは1911年、イギリス国王ジョージ五世の戴冠式が行われた際、贈り物を封鍼するための菊の紋章のシールを宮内庁が依頼したのがその起源と言われています。それまでは外国で印刷されたシールを使用していたそうです。封緘シールが日本のシール印刷の紀元とは意外です。
シールは下からセパレータ(台紙)、糊、素材、表面加工(PPラミネートなど)の4層から構成されています。素材や糊、表面加工にも一般的なラミネート加工から金箔や銀箔などの箔押し加工やエンボス型押し加工など、それぞれ種類があるので用途に合った組み合わせで、シール印刷とはその都度お見積もりが必要な印刷物です。
シール印刷(ラベル印刷)の印刷方法について
ラベルマスターでは、以下の5つの印刷方法からデザイン、お客様のご予算や用途に合わせて最適なものを選んでお見積りのご提案や印刷をしています。サイズや絵柄のタイプ、ロットや加工などで最適なシール印刷機が異なります。上の写真は凸版間欠輪転印刷機です。ユニットが4つあるので4色機になります。
- シール印刷機(凸版平圧印刷機)
- 凸版輪転印刷機(ロータリー)・凸版半輪転印刷機
- オフセット輪転印刷機
- オフセット(平判印刷)印刷機
- オンデマンド印刷機(トナー方式・インクジェット方式)
それぞれのメリット・デメリットや特徴などは以下の通りです。
グラデーションや写真などが入らず特色3色程度までの比較的小さなシールである程度のロットがある場合には、(1)の凸版シール印刷機での印刷がお勧めです。他の方法よりも印刷費用が割安です。
数十枚から数百枚程度の小ロットのフルカラーシール印刷などは現在では(5)のオンデマンド印刷がコスト面で優れています。印刷の仕上りは他の印刷方法に若干劣りますが、単価が安く仕上がるのが魅力的です。
量産ラベルで鮮やかな写真などが入りロールやシートで仕上げる場合には(3)のオフセット輪転機、数種類あって付け合わせで断裁仕上げのような場合には(4)の平判オフセット印刷機が費用面で有利になります。どの印刷方法が最適なのかはケースバイケースなので、特にご指定がない場合には最適な印刷方法でのご案内になります。
1.シール印刷機(凸版・平圧印刷機)
凸版平圧印刷機の特徴
印版の高く盛り上がった部分にインキを付着させて、直接シール素材に印字する、シールの印刷方法では一番原始的な印刷方法で、ゴム印、印鑑などと同じ原理の印刷方法です。数ある印刷方法の中でも歴史のある印刷方式で、網点が細かくないため、プロセス4色などの網点は再現性が悪く単色印刷(特色1色〜特色4色)が得意な印刷機です。
凸版という版をつくっての印刷方法になりますが、凸版には樹脂凸版と亜鉛版とがあり、ロットやデザイン、ベタの有無や使う用紙などに応じて最適なタイプの版を作ります。樹脂版はビニール製の凸版で、亜鉛版は金属で出来ている凸版になります。
亜鉛版と抜き型
箔押し加工やエンボス加工もこの平圧機で行います
箔押し加工もこの平圧機での加工になり、箔押しの版は亜鉛版または銅版になり、銅版は亜鉛版よりもだいぶ高いので亜鉛版で対応できるデザインの場合には、安価な亜鉛版で箔押し加工を行っています。
エンボス加工は、基本的に下に樹脂版(凸版)を置き上から粘着材料(シールの原紙)を亜鉛版(凹版)で挟み込むようにして凹凸の加工を施します。
凸版平圧印刷機が得意なシールは?
下記のようなロゴシールや色数が2色程度の商品ラベル、表示ラベル、箔押しラベル・エンボス加工のシールになります。特に圧をかける必要のある箔押し加工やエンボス加工はこの凸版平圧印刷機を使います。
2.凸版輪転印刷機・凸版間欠輪転印刷機(ロータリー)
一般的なサイズのシールでしたら、オフセット輪転印刷よりも価格が安く仕上がるケースが多いのでラベルマスターではお勧めの印刷方法の一つになります。弊社の印刷サンプルセットにも凸版輪転機で印刷したサンプルが入っていますので、是非お手にとってその仕上りをご確認ください。
凸版輪転機(間欠輪転機)の特徴
輪転印刷での版は金属製シリンダーが一般的で、線画やベタ印刷は得意なのですが、凸版の性質上3%以下の網点は製版できないため、細かい網の再現性はオフセット印刷に劣ります。ただ、グラデーションや写真などが入っていても現在では良いCTP版があるので薄いパステル調の色や、淡い絵柄や色のグラデーションで無い限りはあまり問題にはなりませんが、水彩画や淡い写真などが入るデザインの場合にはオフセット印刷でないと対応ができないケースも多いです。
微妙な色合いのデザインなどを印刷されたいお客様はお見積りのご依頼時に仮のものでも構いませんのでデザインイメージのわかるものをお送り頂ければスタッフの方で最適な印刷方法でお見積りをご提案させて頂きます。
凸版輪転機(間欠輪転機)が得意なラベルは下記のようなフルカラーの絵柄や、特色印刷での大きめなサイズの表示ラベルなどになります。
凸版印刷とオフセット印刷の再現性の違いについて
凸版輪転機印刷の場合: | 約3%〜100% の網点が印刷可能です。(3%以下の網点は印刷されません。) パステル色や淡い色はあまり得意ではありません。 |
オフセット印刷の場合: | 0%〜100%の網点が印刷可能です。 パステル色や淡い色も鮮やかに綺麗に印刷できます。 |
3.オフ輪(オフセット輪転印刷機)
印刷部分と非印刷部分とで版の表面に高低差がない、平版印刷と呼ばれる方式です。印刷しない部分は水、印刷する部分は油の性質を持たせて、水を含ませながら油性インキを塗ると、水系部分はインキをはじいて、印刷部分にだけインキが付着するので、それを転写すると印刷が出来上がる仕組みの印刷方法です。
オフセット輪転機の特徴
インキを刷版からブランケット胴に印刷して、さらにブランケット胴から紙等に転写するロール巻き素材を使用するオフセット印刷です。 オフ輪は写真やグラデーションが入った絵柄のシールで、ロットの大きいもの(数量の多いもの)に適した印刷方法です。最近では水系層(平凸)の代わりにシリコン層を利用する水なし平版(平凹)も普及してきています。ロットの大きなラベルで食品の写真がはいっていたり、細かいグラデーションが入っていたりするような絵柄にはこの印刷方法が適していますが、オフセット輪転機印刷は抜き型の作成と抜き加工が必須な印刷機のため、断裁仕上げで大判のシールなどは平版オフセット印刷(下記の4)がコスト面で優れています。
下の赤いラベルのように、鮮やかな淡いグラデーションが入るようなデザインの場合には、凸版輪転機では再現性に限界があるためオフセット輪転機で印刷を行います。仕上げがロール巻の場合にはオフセット輪転機、断裁仕上げなどの場合には(4)の平判オフセット印刷機でそれぞれ印刷を行います。
4.平版オフセット印刷 (商用オフセット印刷機と同じ)
印刷の3大方法には,凸版印刷,凹版印刷,平版印刷がありますが、オフセット印刷とは、版自体に凹凸のない平版(PS版)を使用する印刷方法で、現在ではカタログやフライヤーなどの一般商業印刷の大半がこのオフセット印刷方法によるものです。(3)のオフセット輪転機に入らないサイズのラベルや、ロール仕上げにしない大ロットのラベル、抜き加工のないラベルで平判で印刷したほうが安い場合にはこの平判オフセット印刷で印刷を行います。
平判オフセット機の特徴
平判オフセット印刷は(3)のオフセット輪転機と基本的には同じですが、下記のイラストのようにPS版に付けたインキを直接紙に転写しないで、PS版からゴムシートに移して(オフ)、それを印刷用紙に転写(セット)して印刷します。抜き加工などは出来ず印刷のみ行うため、抜き加工や断裁加工は別工程での加工になります。
水と油を使うオフセット印刷
オフオフセット印刷ではPS版(Presensitized Plate 表面に感光材を塗った金属板)の表面に光を当てて凹凸を作るFTP(Film to Plate)オフセット印刷方式と、主にレーザーで凹凸を作るCTP(Computer to Plate)オフセット印刷の2種類があります。この2つの方法で版の表面を加工して水に馴染む部分と水をはじく部分を作り、出来上がった版にインキを乗せると水のある部分にはインキが乗らず、水のない部分にだけインキがのり、そこの部分だけが用紙に転写され、印刷されるという仕組みになっています。
断裁仕上げの大ロットシール印刷は、オフセット印刷で、コスト・クオリティ・スピードが優れています
オフセット印刷は、従来のFTP(Film to Plate)オフセット印刷と異なる、製版フィルムを使用しない、CTP(Computer to Plate)オフセット印刷(印刷データから直接PS版に焼付け刷版を作成する)という印刷方法です。従来のフィルム製版がないので、フィルム代が不要で、またその分納期も短縮されています。線数もFTPオフセットが175線程度だったのと比較して、仕上がりや再現性のクオリティも格段にアップしています。
5.オンデマンド印刷
トナー方式(屋内用シール印刷)やインクジェット方式(屋外用耐光インキ印刷)などの印刷方法があり、小ロットに向いている印刷方法です。大きなシールや枚数を沢山印刷する場合にはとても高額になってしまうため、その場合には他の印刷方法が適しています。試作品や展示会用にオンデマンド印刷で少ない枚数をオンデマンド印刷で仕上げて、本製造時には凸版シール印刷やオフセット印刷などで商品ラベルを製造するケースも増えてきています。
下記はインクジェット方式のオンデマンド印刷機で印刷した店頭POP用(アテンションシール)です。
オンデマンド印刷機の特徴
オンデマンド印刷は印刷時の材料予備がとても少なく、必要な時に必要なだけ印刷できるのが最大のメリットです。抜き加工の工程も抜き型が不要で、コンピュータ制御によるプロッターカット(カッター刃)やレーザーカットなどでのハーフカット加工で仕上げます。小ロットで箔押しやエンボス加工などが入らず、特色印刷でない場合には一番安上がりな印刷方法になります。
平判オフセット印刷機でも印刷できないような大判のステッカーなどもこのオンデマンド印刷方法になります。
通常扱っている所の少ない、特殊素材(糊)でのオンデマンド印刷も行っていますので、特殊素材や特殊糊でご検討中のお客様も是非一度お問い合わせください。
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迅速に対応・御見積りのご提案させて頂きます。